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生成AIでできること③転記作業編|「これをやるために入社したのか」をなくす

#AI活用#事例

採用支援の仕事をしていると、早期に辞めた方の退職理由を伺う機会があります。よく出てくるのが「聞いていた仕事と中身が違った」という言葉です。掘り下げると、面接では話題に上らなかった大量の入力作業が日々の大半を占めていた、ということが少なくありません。

「生成AIでできること」シリーズの第3回は、この転記作業を取り上げます。テーマとしては地味ですが、人事・組織の目線で見ると、採用と定着に直結する話です。

人事・労務は「写す仕事」の集積地

新しく入った人の書類から氏名や住所を拾い、社会保険の申請フォームに打ち直す。応募者から届いたメールを読み、採用管理システムに一件ずつ入れる。エクセルの表から別のエクセルへ数字を移す。どの会社にもこうした「右のものを左に移す」業務がありますが、人事・労務はその比率がとりわけ高い部署です。

しかも、扱うのは氏名・住所・口座・保険といった情報です。打ち間違いがあれば、給与の振込や保険の手続きを通じて、社員本人の生活に影響します。単純作業でありながら、ミスが許されない。担当者にかかる負担は、作業時間の数字以上に重いものです。

「写す仕事」が組織にもたらす3つのコスト

転記作業の問題は、かかる時間だけではありません。組織の目線で整理すると、少なくとも3つのコストがあります。

1つ目はミスとその後始末です。人は同じ作業を繰り返せば、どこかで必ず打ち間違えます。見つけて直し、関係者に連絡する二次作業まで含めると、見えない工数はかなり大きくなります。

2つ目は、人のやる気と定着です。「自分はこれをやるために入社したのか」と感じさせる仕事ほど、離職の遠因になります。冒頭の話のとおり、入社後3ヶ月ほどで辞めてしまう理由をたどると、こうした業務に行き着くことは珍しくありません。採用にかけた費用と時間を、写す仕事が静かに削っているのです。

3つ目は、繁忙期への集中です。月末月初や年度末、そして人事なら4月の入社シーズンに、ほかの仕事を止めてでも片づけなければならない作業として押し寄せます。

AIに任せると、どう変わるか

Claude Code(クロードコード)のようなAIエージェントは、パソコンの中のファイルを直接開いて読み書きできます。そのため「形を変えて写す」作業を、丸ごと引き受けてもらえます。

たとえば、フォルダに入った約40枚のPDF請求書から、発行日や取引先名、金額、支払期日を読み取り、経理に出すいつもの一覧表にまとめてもらう。人の手なら半日がかりの量ですが、AIなら数分で終わります。このとき「読み取りに自信がないところは色を付けて」と一言添えておくと、人が確認するのはその箇所だけで済みます。

私たちのグループでも、業務管理や報告まわりの作業が、週2時間から週5分にまで縮みました。残った5分は、AIの仕事ぶりを確かめる時間です。経費精算も、メンバーが社内チャットの専用の場所に領収書や請求書の写真を上げるだけで、AIが科目と金額を読んで仕訳し、Googleスプレッドシートに記入したうえで顧問税理士に連携する流れになっています。担当者が入力する工程はありません。

任せる前に決めておきたい運用ルール

転記をAIに渡すときは、作業の手順よりも先に、運用のルールを決めておくことが大切です。人事の書類を扱うならなおさらです。

  • 初回は全件を人が確認する:手書きの文字や崩れた書式では、AIも読み違えます。最初に全件を見てクセをつかみ、次からは印の付いた箇所に絞ります
  • 想定外のものは処理させず報告させる:書式の違う書類が混じっていたら手を付けずに知らせる、と決めておけば、AIが独断で誤ることを防げます
  • うまくいった手順を残す:次から「前回と同じやり方で」で通じるよう、手順をAIに記録させます。業務の型が属人化しないための第一歩です
  • 個人情報をどこで扱うかを先に決める:人事・労務の書類はほとんどが個人情報です。どの環境で処理してよいかを社内ルールとして明確にしてから着手してください。考え方は生成AIを安全に使うにはにまとめています

職務と求人票を書き換えるチャンス

転記が手を離れたあとに起きるのは、単なる時間短縮ではありません。差し戻しや確認のやり取りが減り、繁忙期の残業が軽くなり、担当者は判断が必要な仕事に時間を使えるようになります。

人事として注目したいのは、ここで職務の中身そのものが変わることです。役割定義を見直せば、求人票の書き方も「入力業務が中心」から「制度づくりと現場の支援が中心」へと変えられます。仕事の中身が変われば、応募してくる人の層も、長く続けてくれる人も変わります。

逆に、AIで空いた時間を何に使うかを決めないままだと、別の雑務が流れ込んで終わりがちです。転記を減らす取り組みは、担当者の役割を描き直す取り組みとセットで進めることをおすすめします。

おわりに

写す仕事を減らすことは、業務効率の話であると同時に、人が辞めない職場をつくる話でもあります。面接で胸を張って説明できる仕事の中身にしておくことが、採用と定着のいちばんの土台です。

OhEN Funwork Studiosは、採用支援と人事・組織づくりを仕事にしている会社です。「定型業務が多く、採ってもなかなか定着しない」「役割や求人票をどう書き直せばよいか分からない」といった段階からご相談をお受けしています。お気軽にお声がけください。

AIの活用を社内でどう進めるかは、AI活用支援でもご紹介しています。ご相談はお問い合わせフォームから、お気軽にどうぞ。

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この記事の要点

  • 人事・労務は転記作業の比率が高く、しかもミスが社員本人の生活に響く情報を扱う
  • 写す仕事のコストは時間だけでなく、ミスの後始末・やる気と定着・繁忙期への集中の3つ
  • AIに任せるなら、初回の全件確認・想定外は報告させる・手順を残す・個人情報の扱い場所を決める、を先に決める
  • 転記が減ったら、役割定義と求人票を書き換える好機。仕事の中身が変われば、採れる人も定着する人も変わる

OhEN Funwork Studiosでは、採用・人事の現場に根ざしたAI活用支援・AI研修を提供しています。

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