「AIで仕事が変わる」という話は、もう聞き飽きるほど聞いているはずです。それでも多くの経営者・人事の方の実感は「ChatGPTに文章を手伝ってもらうと、ちょっと便利」くらいではないでしょうか。少し前までの私も、そうでした。
この記事では、経営者である私自身が「Claude Code(クロードコード)」というAIエージェントを日常業務に導入して、働き方が実際にどう変わったのかを、数字と実例でお話しします。先に結論を言うと——私は一度、失業しました。
生産性10倍——大げさに聞こえるのは分かっています
2026年の年明け以降、私たちのグループで働くメンバーの生産性は、体感値で10倍上がっています。タスクによっては20倍(データ分析や資料作成)、逆にほとんど変わらないもの(人と会って商談する時間)もありますが、ならすと10倍は違う。もはや以前どうやって今の仕事量をこなしていたのか、想像ができません笑
具体的には、こんな変化です。
- 会議や商談後の議事録作成: 20分 → 30秒
- 提案資料の作成: 2時間 → 20分
- エクセルや社内システムを使った業務管理・報告: 週2時間 → 週5分
- 定例会議のアジェンダ検討・作成・参加者への周知: 週1時間 → ゼロ(全自動)
- データ収集と高度な分析、レポート作成: 10時間 → 2時間
いずれも厳密な実測ではなく体感値ですが、大きくは外れていないはずです。さまざまな業務が超高速化、もしくは完全に自動化されています。
注目していただきたいのは、並んでいるのが「特別な仕事」ではないことです。議事録、報告、資料づくり、転記。どの会社の、どの部署にもある業務ばかりです。裏を返せば、これらに費やされていた時間が、そっくり空くということでもあります。
私は一度「失業」しました
OhEN Funwork Studiosは、採用支援・人事コンサルティングに加えて、実務の実行まで入り込むクライアントワーク(顧客業務支援)の会社です。
代表である私自身の仕事の半分は、膨大なエクセルデータに複雑な関数やプログラムを組んで解決すべき課題を見つけ出し、戦略の立案やコスト削減を提案し、その結果を分かりやすいパワーポイントに仕上げること——つまり「エクセルの関数スキル」と「パワポ作成スキル」でご飯を食べていた時期が長くありました。
それが2025年後半以降、関数を直接組んだり、パワーポイントを自分で編集したりしたことは、片手で数えるほどしかありません。長年磨いてきた中心スキルを、まったく使わない日々。私は失業したのです。
人事の言葉に置き換えると、これは職務(ジョブ)の中身が、本人の意思とは無関係に入れ替わったということです。同じ役職、同じ肩書きのまま、やっている仕事が別物になる。いま多くの職場で静かに起きはじめているのは、この種の変化だと思っています。
そして「転生」した——いまの仕事
代わりに、いまはAIを使わない日が1日もありません。議事録の作成、フォーマットやルールに沿った業務報告、業務データの分析、提案資料づくり、システムへの転記入力。どの企業にもある、こうした業務のほとんどをAIで全代替もしくは半代替する——その「仕組みをつくる」ことが、私の新しい仕事になりました。新しい職種へのジョブチェンジです。
今年3月に設立したグループ会社の株式会社Method HubはAIプロダクトの開発会社ですが、社内の仕組みはほとんどAIで回っています。システムを開発する。バグを検知して直す。Webサイトがどれくらい見られているかを調べてメンバーに報告する。それをもとに改善策を考える。全員の週次の活動を見て、次の定例会議の議題を用意する。少し前までは考えられなかった光景です。
身近な例をもうひとつ。いまご覧いただいているこのホームページも、このブログの仕組み(Notionに書くと自動でサイトに記事が公開される仕組み)も、Claude Codeと一緒に作りました。外注すれば数十万円と数週間かかっていたはずのものが、社内で1日です。
なぜ「ブラウザでChatGPT」と、ここまで違うのか
ブラウザで使うAIは、聞けば答えてくれる優秀な「相談相手」です。一方、Claude CodeのようなPCに常駐するAIエージェントは、実際にファイルを開き、作業をして、成果物を納めてくれる「部下」です。相談相手は仕事を代わってくれませんが、部下は代わってくれる——この差が、体感10倍の正体だと考えています。この違いは、別の記事で詳しく書く予定です。
働き方の設計は、これから人事の仕事になる
ここまでは私個人の話ですが、組織に広げるとなると論点が変わります。
最初の壁は、スキルではなく「安全性」です。機密情報を入力して大丈夫なのか、社員にどこまで自由に使わせてよいのか。ここが曖昧なままだと、現場は萎縮して使えません。まずは利用ルールと安全な環境(私たちはセキュリティガードレールと呼んでいます)を整えることが出発点です。
そのうえで、議事録や転記作業のような「間違ってもすぐ気づける業務」から小さく始めて、成功パターンを社内に広げていく。この順番であれば、特別なIT部門がない会社でも確実に前に進めます。
そして、空いた時間を何に使うのか、変わった職務をどう評価するのか、育成の順番をどう組み替えるのか——ここから先は、まぎれもなく人事と組織の設計の話です。ツールを配って終わりにならないのは、そのためです。
OhEN Funwork Studiosでは、AIを使った業務効率化と、それを前提とした働き方・人事制度の設計を、両面からご支援しています。「うちの業務だと、何から始められるのか」という段階のご相談からお受けしています。詳しくはAI活用支援のページをご覧ください。
この記事の要点
- 2026年以降、筆者のグループでは生産性が体感10倍に(議事録20分→30秒、提案資料2時間→20分、週次報告2時間→5分など)。並んでいるのはどの会社にもある業務ばかり
- 変化の本質は「便利なチャットAI」ではなく、業務を丸ごと任せられるAIエージェントへの移行
- 経営者自身の職務も「エクセル・パワポの作業スキル」から「AIに業務を任せる仕組みをつくるスキル」へ。同じ肩書きのまま仕事の中身が入れ替わる現象が起きている
- 組織に広げる順番は、①安全な環境(ガードレール)→②小さな業務で試す→③全社に展開
- 空いた時間の使い道、変わった職務の評価、育成順序の組み替えは、人事と組織設計の仕事になる
OhEN Funwork Studiosでは、採用・人事の現場に根ざしたAI活用支援・AI研修を提供しています。