前回、APIは「システム同士の注文窓口」だと書きました。今回は実際に手を動かします。題材は少し未来的に——Claude Codeから、OpenAIのGPTを呼び出してみる。つまり、AIに別のAIへ仕事を注文させる体験です。
「AIからAIを呼ぶ? 何の意味が?」と思うかもしれません。最後まで読むと、この体験が業務システムの発想につながることが分かるはずです。
準備するもの
必要なものは2つだけです。
- OpenAIのAPIアカウント: OpenAIのサイトでアカウントを作り、APIキー(会員証)を発行します。クレジットカード登録が必要ですが、少額(数ドル分)のチャージで十分試せます
- キーの安全な置き場所: 発行したキーは、コードに直接書かず「.env」という専用ファイルに置くのが作法です。会員証を机に出しっぱなしにしない、ということです
このあたりの手順自体、Claude Codeに「OpenAIのAPIキーを発行したので、安全に使える形でセットアップして」と頼めば伴走してくれます。
実際にやってみる
セットアップができたら、Claude Codeにこう頼んでみてください。
OpenAIのAPIを使って、GPTの最新モデルを呼び出す練習をしたい。
「この文章を3行で要約して」という依頼を送って、
返ってきた結果を表示する小さなスクリプトを書いて実行してみて。
かかった費用の目安も教えて。数十秒後、Claude Codeが書いたプログラムがGPTに注文を送り、要約が返ってきます。このとき起きているのは、前回のレストランの比喩そのものです。注文窓口(API)に、会員証(キー)を添えて、決まった形式で注文し、料理(回答)を受け取る。そして費用は、注文した分量(トークン)だけの従量課金——1回の要約なら1円もかかりません。
この体験が意味すること
たった1回の体験ですが、ここには大きな示唆があります。
- AIは「選んで1つ」ではなく「組み合わせて使える」: 要約はこのAI、翻訳はあのAI、と得意分野で使い分ける仕組みが作れます
- 自社システムにAIを組み込める: 「人がAIの画面を開く」のではなく「システムが裏でAIに注文する」形の自動化が視野に入ります。人事でいえば、応募者からの問い合わせメールを内容別に振り分ける、面接の評価コメントを職種別に集約して傾向を出す、1on1のメモから継続的な課題を拾い出す——といったことです
- 見積もりの解像度が上がる: 業者から「AI連携機能」の見積もりが来たとき、裏側で起きていることが想像できるようになります
2つ目の違いは、実務ではかなり大きいです。社員全員にAIツールを配って使ってもらうのは、教育と定着の勝負になります。 一方、業務の流れの裏側にAIを組み込んでしまえば、社員は普段どおり仕事をするだけで恩恵を受けられます。全社展開の難しさに悩んでいる会社ほど、この選択肢を知っておく価値があります。
手を動かす価値について
もう一つ、育成の観点から書いておきたいことがあります。
この記事の内容は、読むだけなら5分です。しかし実際にキーを発行して、エラーに詰まって、動いた瞬間を見た人と、読んだだけの人とでは、その後の判断の質がまったく違います。 業者の説明を聞いたときの解像度も、社内から出てきた提案の妥当性を見極める力も。
AI研修を設計するときも同じで、講義形式で概念を説明するより、小さくても一度動かしてもらうほうが、結局は速い。触った経験が、後から何度も判断の材料として効いてきます。
つまずきポイント
- キーの扱い: APIキーが漏れると他人にあなたの財布で注文されます。コードに直書きしない・チャットに貼らない・ガードレールの管理下に置く
- エラーが出たら: エラー文をそのままClaude Codeに見せて「これどういう意味?」と聞けば解決します。エラーは敵ではなく、状況を教えてくれる案内です
- 使いすぎの心配: APIの管理画面で利用上限額を設定しておけば安心です
次回はもう一歩進んで、いま最も注目される仕組み「MCP」の基礎編です。
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この記事の要点
- Claude CodeからGPTのAPIを呼ぶ体験は、準備2つ(APIキー発行・安全な置き場所)で数十分でできる
- 体験の意味: AIの組み合わせ利用・自社システムへのAI組み込み・業者見積もりの解像度向上
- 「システムが裏でAIに注文する」形なら、社員は普段どおり働くだけで恩恵を受けられる。全社展開の教育コストに悩む会社ほど知っておく価値がある
- 読むのと触るのでは、その後の判断の質が違う。研修も講義より一度動かすほうが結局速い
- APIキーは財布と同じ。直書きしない、貼らない、上限額を設定する
- エラー文はそのままAIに見せて聞けばよい。エラーは敵ではなく案内
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